旅ログ

初海外一人旅5日目|バンコク観光とトゥクトゥク

2026年6月2日

※2000年9月25日の日記です。

初めての海外一人旅、5日目。

前日は韓国を離れて、タイ・バンコクへ移動した。

韓国では、初日からホテルを予約していなくて空港で詰みかけたり、ネットで知り合ったWonと会ったり、ソウルタワーの夜景を見たりと、かなり濃い時間を過ごした。

そしてタイへ移動。

韓国の空港では、タイ人女性に写真を頼まれたことをきっかけに少し話をし、バンコク到着後には、その女性と、機内で隣だったアメリカ人男性と一緒に行動することになった。

そのアメリカ人男性が、エース。

本名は聞いたのだけれど、発音が難しくてよく分からなかった。

なので、自分の中では勝手にエースと呼ぶことにした。

旅慣れていて、30カ国以上を回っていて、安いホテルも知っていて、ナナプラザにも連れて行ってくれる。

初海外の自分からすると、完全に別次元の旅人だった。

そして迎えたバンコク2日目。

この日は、エースと一緒にバンコクを観光することになった。

トゥクトゥク。

王宮。

ワット・プラケオ。

チャオプラヤー川。

スネークファーム。

カオサン通り。

チャイナタウン。

そして突然のスコール。

初めて見るもの、初めて乗るもの、初めて感じる空気ばかり。

旅の5日目にして、ようやく「タイに来た」という実感が一気に強くなった一日だった。

蒸し暑いバンコクの朝

朝、目を覚ましたのは8時過ぎだった。

前日の夜は、エースに誘われてナナプラザへ行き、軽く飲んだあとホテルへ戻った。

初めてのバンコクの夜。

ネオン。

音楽。

バー。

外国人。

日本では見たことのない空気に圧倒され、刺激が強すぎて少し疲れていた。

そのせいか、部屋に戻ったあとはぐっすり眠っていたようだ。

目が覚めても、まだ少し頭がぼんやりしていた。

ここはタイ。

バンコク。

昨日まで韓国にいたのが、少し不思議なくらいだった。

ホテルの部屋でテレビをつけ、特に意味もなく眺めていた。

海外のホテルで朝にテレビをつけると、言葉はよく分からなくても、なんとなくその国にいる感じが出る。

日本語ではない音声。

知らないCM。

知らない番組。

それだけで、旅先の朝になる。

そんなぼんやりした時間を過ごしていると、不意にドアをノックする音が聞こえた。

「コンコン」

誰だろうと思ってドアを開けると、そこにはエースの姿があった。

エースから朝食に誘われる

エースは気軽な感じで、

「朝食を一緒にどうだ?」

というようなことを言ってくれた。

正直、こういう何気ない誘いが一人旅では本当にありがたい。

一人旅は自由だ。

好きな時間に起きて、好きな場所へ行ける。

誰かに気を使う必要もない。

でも、朝起きた瞬間に、

「さて、今日はどうしよう」

となることもある。

特に海外では、朝食ひとつでも少しハードルがある。

どこで食べるのか。

どう注文するのか。

いくらくらいなのか。

言葉は通じるのか。

そういう細かいことが、地味に気になる。

そこに、旅慣れたエースが「朝食に行こう」と誘ってくれる。

これはかなり心強い。

お腹も空いていたので、すぐに準備をして一緒に外へ出ることにした。

ホテルの外に出た瞬間、むわっとした熱気に包まれた。

朝なのに、すでに蒸し暑い。

日本の朝とは全然違う。

湿度と熱気が一気に体にまとわりついてくる感じだった。

「ああ、タイだ」

そう思った。

韓国の空気とも違う。

日本とも違う。

バンコクの朝は、すでにかなり元気だった。

スクンビット通りの露店に圧倒される

ホテルを出て歩き始めると、通りにはすでに露店の準備が始まっていた。

スクンビット通り一帯は、朝から活気があった。

ナナプラザ周辺まで含めると、軽く100店舗以上はあるのではないかと思うほどの規模だった。

実際に数えたわけではない。

でも、歩いているだけでそれくらいの勢いを感じた。

露店が並び、人が動き、車やバイクが走り、街全体がすでに動き出している。

朝のバンコクは、寝起きの自分には少し情報量が多かった。

日本の朝の駅前とも違う。

韓国の街とも違う。

もっと雑多で、もっと熱っぽい。

きれいに整えられた街というより、生活と商売と観光がそのまま混ざっているような感じだった。

この空気に触れただけで、かなり異国感があった。

初めてのタイ。

初めてのバンコク。

ガイドブックで見るよりも、実際に歩く街のほうがずっと濃い。

まだ朝食を食べに行くだけなのに、すでに観光が始まっているような気分だった。

朝から薬局が開いていることに驚く

朝食の前に、エースが「薬局に寄りたい」と言い出した。

こんな朝早くから薬局が開いているのかと少し驚いた。

日本の感覚だと、朝早い時間に薬局へ行くというイメージがあまりなかった。

でもタイでは、これが普通らしい。

街の動き出しが早いのか、観光客が多いエリアだからなのか、とにかく店は開いていた。

エースは奥さんのための薬を買うと言っていた。

中国人の奥さんがいて、今はアメリカに残してきている。

前日のタクシーの中でもそんな話をしてくれていた。

旅慣れていて、見た目はガタイがよくて少し怖そうにも見える。

でも、重そうな荷物を持っているおばさんを自然に手伝ったり、奥さんの薬を買ったりする。

そういうところを見ると、やっぱり優しい人なんだなと改めて感じた。

旅先で出会った人のことは、短い時間しか知らない。

でも、ふとした行動で人柄が見えることがある。

エースの場合は、そういう小さな行動が印象に残った。

トーストとコーヒーの普通の朝食

薬局に寄ったあと、近くの喫茶店のような店に入った。

そこで朝食をとることにした。

メニューはシンプルだった。

トーストとコーヒー。

海外に来ているのに、こういう普通の朝食を食べているのが少し面白かった。

タイだからといって、朝から必ずタイ料理を食べるわけではない。

旅先でも、普通にトーストを食べる朝がある。

それもまたリアルだ。

味は、日本でもよくある感じで、安心感があった。

初めての国では、食べ物も刺激になる。

でも、ずっと刺激ばかりだと疲れる。

そういう意味では、トーストとコーヒーの朝食はちょうどよかった。

昨日はナナプラザで夜のバンコクを見て、今日は朝から蒸し暑い街を歩いている。

その中で、普通の朝食を食べる。

体が少し落ち着いた。

食事をしながら、エースに聞かれた。

「今日はどうするんだ?」

正直、何も決めていなかった。

海外一人旅5日目。

相変わらずノープランである。

すると、エースが提案してくれた。

「一緒に観光しないか?」

特に予定もなかった自分は、そのまま一緒に回ることにした。

エースのメールチェックを待つ

朝食のあと、一度ホテルに戻った。

出発前に、エースが「メールチェックをしたい」と言った。

ホテル内のPCルームへ向かうエース。

自分は外で待っていた。

2000年当時、海外でメールを確認するには、ホテルのPCルームやインターネットカフェのような場所を使う必要があった。

今ならスマホで一瞬だ。

ベッドの上でも、空港でも、タクシーの中でも確認できる。

でも当時は違う。

メールを見るだけでも、わざわざPCのある場所へ行かなければならない。

今思うと、かなり時代を感じる。

エースは5分ほどで戻ってきた。

どうやら奥さんへのメールだったらしい。

本当にマメな人だと思った。

旅先でもちゃんと奥さんへ連絡する。

しかも、薬も買っている。

こういうところを見ると、ただの自由人というより、ちゃんと家族を大事にしている人なんだなと思う。

自分は初海外で自分のことで精いっぱいだった。

ホテル探し、移動、食事、言葉。

それだけで頭がいっぱい。

それに比べて、エースは旅をしながらも、奥さんへの連絡や気遣いを忘れていない。

旅慣れている人は、やっぱり余裕が違う。

初めてのトゥクトゥク体験

ホテルを出て歩き出すと、すぐにトゥクトゥクの運転手が声をかけてきた。

タイ名物の三輪タクシーである。

名前は知っていた。

写真で見たこともあったと思う。

でも、実際に乗るのはもちろん初めて。

見た瞬間から、かなりタイらしさがあった。

車でもない。

バイクでもない。

独特の形。

風を受けながら走る感じ。

これに乗るだけで、いかにもバンコクに来たという気分になる。

ただ、料金はメーターではなく交渉制だった。

これが初めての自分には難しい。

いくらが妥当なのか分からない。

高いのか安いのか判断できない。

英語も完璧ではない。

相手も観光客慣れしている。

これは一人だったら、かなり困っていたと思う。

しかし、ここでもエースが頼もしかった。

慣れた様子で運転手と交渉し、スムーズに決めてくれた。

「さすが旅慣れてるな……」

内心、かなり感心した。

自分は横で見ているだけ。

完全に弟子のような状態である。

トゥクトゥクの風とバンコクの街

初めてのトゥクトゥクに乗り込む。

走り出すと、風が入ってくる。

暑い。

でも気持ちいい。

車とは違う。

タクシーのように密閉されていないので、街の空気をそのまま感じる。

排気ガス。

熱気。

車の音。

バイクの音。

人の声。

全部が近い。

日本ではなかなか味わえない感覚だった。

乗り心地は、決して快適だけではない。

揺れるし、音もするし、少し怖さもある。

でも、それがいい。

バンコクの街を体で感じているようだった。

初めてのトゥクトゥク。

これだけでも、この日の大きな思い出になった。

旅先の移動手段は、単なる移動ではない。

特に初めて乗るものは、それ自体が観光になる。

電車でも、バスでも、タクシーでも、その国らしさが出る。

トゥクトゥクは、まさにタイらしい移動体験だった。

王宮とワット・プラケオへ

最初に向かったのは、王宮とワット・プラケオ。

バンコクに来たらまずここ、という定番スポットである。

到着すると、とにかく人が多かった。

欧米人。

日本人。

アジア各国の観光客。

いろいろな国の人が集まっていた。

さすが有名観光地だと思った。

韓国の景福宮でも日本人観光客は見かけたけれど、タイの王宮周辺はまた違う国際色があった。

暑さもあり、人の多さもあり、かなりエネルギーのある場所だった。

敷地に入る前から、ただならぬ観光地感がある。

初めてのタイ観光らしい場所に来た。

そんな実感が湧いてきた。

私たちは、日本語のガイドテープを借りて見学することにした。

今でいう音声ガイドのようなものだと思う。

借りる際には、パスポートを預ける必要があった。

これが少し緊張した。

海外でパスポートを預けるというのは、やっぱり怖い。

本当に戻ってくるのか。

大丈夫なのか。

でも、見学のためには必要だったので預けた。

初海外の自分には、こういう一つひとつが緊張だった。

豪華すぎる装飾に圧倒される

王宮とワット・プラケオの敷地内は、とにかく豪華だった。

建物の装飾が細かい。

色使いも鮮やか。

金色の輝き。

塔の形。

壁や屋根の装飾。

どれも日本の寺社とは全然違う。

まさに異文化そのものだった。

日本の寺院や神社には、落ち着いた美しさがある。

木の色や石、余白の美しさ。

でもタイの寺院は、もっと強い。

視覚に一気に入ってくる。

豪華で、きらびやかで、細かくて、圧倒される。

「すごいな」

それしか出てこない。

ガイドテープを聞きながら歩いていたはずだが、正直、細かい説明よりも建物の迫力のほうが強く残っている。

初めてのタイ観光。

初めて見る寺院建築。

暑さと人の多さの中で、ただただ圧倒されていた。

海外に来た実感が、ここでさらに強くなった。

昨日の夜のナナプラザも異文化だったけれど、王宮とワット・プラケオはまた違う意味で異文化だった。

タイという国の歴史や宗教、文化の一部に触れている感じがした。

暑さの中で飲んだレモンジュース

途中で飲んだレモンジュースが、とにかく美味しかった。

これはかなり印象に残っている。

タイの暑さの中で歩き回ると、体が水分と酸味を欲しがる。

汗もかく。

喉も渇く。

その状態で飲む冷たいレモンジュース。

体に染み渡るような感覚だった。

味そのものも美味しかったと思う。

でも、あの環境で飲んだからこそ、余計に美味しく感じたのだと思う。

旅先の飲み物は、場所と気温で記憶に残る。

特別な高級ドリンクではない。

でも、暑い中で飲んだ一杯は、いつまでも覚えている。

バンコクの王宮で飲んだレモンジュース。

たぶん、今同じものを日本で飲んでも、あのときほどの感動はないかもしれない。

でもそれでいい。

旅の味は、その場限りの条件込みで完成する。

暑さ。

疲れ。

初めての景色。

人の多さ。

そこに冷たいレモンジュース。

完璧だった。

チャオプラヤー川クルーズへ

王宮を出ると、現地の人に声をかけられた。

「ボートに乗らないか?」

というような誘いだった。

またしても交渉である。

タイの観光では、とにかく交渉が出てくる。

タクシー。

トゥクトゥク。

ボート。

料金が最初からきっちり決まっている日本の感覚とは違う。

これが面白くもあり、初心者には難しくもある。

ここでもエースが活躍した。

値段を下げてくれたので、そのまま乗ることになった。

本当に頼りになる。

自分一人だったら、高いのか安いのか分からず、そもそも乗るかどうかも迷っていたと思う。

船着き場までは、またトゥクトゥクで移動。

そこからボートに乗り込んだ。

バンコクの街を川から見る。

これは楽しみだった。

王宮や寺院のような観光地とは違う、また別のタイが見られる気がした。

チャオプラヤー川は思っていたより濁っていた

ボートに乗る前、川を見て最初に思ったことがある。

「思ってたより、かなり濁ってる……」

チャオプラヤー川は茶色く濁っていた。

日本の川のイメージとは全然違った。

もちろん、日本にも濁った川はある。

でも、観光で乗る川というと、もう少しきれいな水を想像していたのかもしれない。

実際に見たチャオプラヤー川は、かなり生活感のある川だった。

観光用にきれいに整えられた風景というより、人々の暮らしと一緒にある川。

最初は少し驚いた。

でも、ボートで走り出すと、風が気持ちよかった。

水の色は濁っている。

でも、川の上を進む感覚はいい。

街の中を道路で移動するのとは違い、少し視界が開ける。

風が当たる。

暑さも少し和らぐ。

茶色い川と、岸辺の景色。

それも含めて、バンコクだった。

川から見た生活としてのタイ

ボートクルーズは、1時間ほどだった。

その間、いろいろな景色を見ることができた。

学校から手を振ってくる子どもたち。

川で体を洗う人々。

建物。

船。

川沿いの暮らし。

観光地だけを見ていたら分からない、“生活としてのタイ”がそこにあった。

王宮やワット・プラケオは、タイの歴史や宗教を感じる場所だった。

でも、チャオプラヤー川から見た景色は、もっと日常に近かった。

そこに住んでいる人たちがいる。

川を使って生活している人たちがいる。

自分は観光客としてボートに乗っている。

でも、その横で現地の人の日常が流れている。

この差が印象的だった。

旅をしていると、有名な観光地よりも、こういう何気ない生活の風景のほうが心に残ることがある。

子どもたちが手を振ってくる。

川で体を洗っている人がいる。

それを見て、驚く。

日本とは違う。

でも、そこではそれが生活なのだと思う。

このクルーズは、かなりリアルなタイを見せてくれた。

スネークファームに立ち寄る

途中で、スネークファームに立ち寄ることになった。

Snake Farm。

名前の通り、蛇がたくさんいる施設だった。

正直、蛇が得意というわけではない。

日本で普通に生活していて、蛇とふれあう機会なんてまずない。

それなのに、タイの旅先でスネークファームである。

中に入ると、本当に蛇だらけだった。

さらに、コブラショーまで行われていた。

コブラ。

あのコブラである。

毒を持っていて、フードを広げる、いかにも危険そうな蛇。

それを目の前で見る。

なかなか刺激的だった。

せっかくなので、コブラを触らせてもらった。

正直、気持ち悪かった。

これはもう素直に書く。

貴重な体験ではある。

日本ではなかなかできない。

でも、気持ちいいものではなかった。

好きな人は好きなのかもしれない。

でも自分は、

「うわ、すごい。でも気持ち悪い」

という感覚だった。

これもまた異文化体験である。

旅の体験は全部が楽しいとは限らない

スネークファームで思ったのは、海外旅行の体験は全部が楽しいとは限らないということだ。

美しい景色を見る。

美味しいものを食べる。

親切な人に出会う。

そういう楽しい記憶はもちろんある。

でも、ちょっと気持ち悪いものを見ることもある。

苦手なものに触れることもある。

食べ物が口に合わないこともある。

それも含めて旅なのだと思う。

コブラを触ったことは、楽しかったかと聞かれると微妙だ。

でも、記憶には残っている。

むしろ、かなり残っている。

「タイでコブラ触ったことある」

という経験は、なかなか強い。

日常生活ではまず出てこない話だ。

今の自分なら、わざわざ触るかどうか分からない。

たぶん少し迷う。

でも当時は、初海外の勢いもあって触った。

結果、気持ち悪かった。

でも、今こうして書ける。

それで十分なのかもしれない。

昼食のビーフシチューは微妙だった

気がつけば昼を過ぎていた。

近くの店で食事をすることになった。

自分はビーフシチューを注文した。

値段は300円程度。

安い。

かなり安い。

でも、味は正直イマイチだった。

少し生臭さがあり、最後まで食べるのがきつかった。

海外で食事をするとき、

「安いから当たり」

とは限らない。

このとき、それを実感した。

もちろん、安くて美味しい店もある。

屋台のチヂミのように、安くても印象に残る美味しさに出会うこともある。

でも、安いから必ず美味しいわけではない。

特に、慣れない国で慣れない料理を選ぶと、外すこともある。

このビーフシチューは、まさに外れだった。

旅の食事は、成功と失敗がある。

美味しかったものはもちろん覚えている。

でも、微妙だったものも意外と覚えている。

「300円くらいで安かったけど、ちょっときつかったな」

という記憶。

これも旅の味である。

カオサン通りを歩く

食後は、カオサン通りやチャイナタウンを散策した。

カオサン通りは、噂通りバックパッカーだらけだった。

西洋人。

日本人。

さまざまな国の人が集まっている。

独特の空気があった。

初めての海外一人旅に出るきっかけは、深夜特急だった。

バックパッカーという言葉に憧れた。

リュックを背負って、安宿に泊まりながら旅をする人たち。

そのイメージの中にあったような場所が、カオサン通りにはあった。

そこを実際に歩いている自分。

「ああ、自分もこういう旅人になっているんだな」

と少し実感した。

もちろん、旅慣れた人たちと比べれば、自分はまだまだ初心者だった。

ホテルも予約していないし、言葉もできないし、エースに助けられてばかり。

でも、それでも自分は今、バンコクのカオサン通りを歩いている。

その事実が少しうれしかった。

深夜特急を見て「自分も行ってみたい」と思った大学生が、本当に海外のバックパッカーの街にいる。

これは、なかなか感慨深いものがあった。

チャイナタウンを歩きながら感じた雑多な熱気

カオサン通りのあとは、チャイナタウンも散策した。

バンコクの街は、場所によって空気がかなり変わる。

王宮や寺院のような観光地。

川沿いの生活感。

カオサン通りのバックパッカー文化。

そしてチャイナタウンの雑多な熱気。

一日の中で、いろいろな顔のバンコクを見ていた。

チャイナタウンは、さらににぎやかで、独特の雰囲気があった。

看板。

店。

人。

食べ物の匂い。

商売の空気。

中国系の文化が混ざったバンコク。

同じ街の中に、いろいろな文化が重なっている。

日本で暮らしていると、街の雰囲気はある程度見慣れている。

でもバンコクでは、少し移動するだけで空気が変わる。

それが面白かった。

ただ、暑さと歩き疲れもあって、体力はかなり削られていたと思う。

朝から動きっぱなしだった。

トゥクトゥクに乗り、王宮を歩き、川をクルーズし、スネークファームへ行き、昼食を食べ、カオサン通りとチャイナタウンを歩く。

今の47歳の自分なら、途中で絶対にカフェ休憩を挟みたい。

いや、当時もたぶん疲れていたはずだ。

突然のスコールで観光終了

午後になると、突然のスコールが来た。

激しい雨。

タイらしい雨だった。

日本のしとしと降る雨とは違う。

一気に降ってくる。

これはもう、歩き回るどころではない。

観光はここで終了し、ホテルへ戻ることになった。

時間は16時頃だった。

朝からかなり動いたので、ちょうどよかったのかもしれない。

天気に強制終了をかけられた感じだった。

旅先の天気は、自分ではどうにもならない。

晴れてくれればありがたい。

でも、雨が降れば予定は変わる。

それも旅である。

特に東南アジアのスコールは、初めて見ると迫力がある。

急に空気が変わり、雨が一気に落ちてくる。

「これは無理だな」

と素直に思った。

ホテルに戻ると、少し安心した。

朝からの観光と暑さで、体はかなり疲れていた。

キックボクシング観戦は断る

ホテルに戻ったあと、エースからキックボクシング観戦に誘われた。

タイといえばムエタイ。

キックボクシング観戦は、たしかに面白そうだった。

かなりタイらしい体験だと思う。

でも、さすがに疲れていた。

朝からずっと動いていた。

王宮。

ワット・プラケオ。

トゥクトゥク。

チャオプラヤー川。

スネークファーム。

カオサン通り。

チャイナタウン。

スコール。

もう、かなりお腹いっぱいだった。

体力的にも、精神的にも、少し休みたかった。

だから、エースの誘いは断ることにした。

今思うと、行っていたらまた面白い体験になったかもしれない。

でも、無理して行っていたら疲れすぎていた気もする。

旅には、選ぶ体験と選ばない体験がある。

全部はできない。

特に初海外では、見るものすべてが新しく、普通に歩いているだけでも疲れる。

自分の体力を考えて断ることも、旅を続けるためには大事だったのだと思う。

Maiに電話をする

その代わり、事前に連絡を取っていたタイの友人Maiに電話をすることにした。

Maiは、ICQで知り合ったタイ人。

韓国ではNETOMOで知り合ったWonと会った。

タイではICQで知り合ったMaiと会う予定だった。

2000年当時、ネットで知り合った海外の人に実際に会いに行くというのは、今思ってもかなり攻めている。

でも、自分にとっては、この旅の大きな目的の一つだった。

画面の向こうにいた人に、現実で会う。

韓国でWonと会ったとき、その不思議さと面白さをすでに感じていた。

今度はタイでMaiに会う。

ただ、自分で電話をかけようとしても、うまくつながらなかった。

またしても電話問題である。

韓国ではテレホンカードを逆に入れていた。

タイでは、そもそも電話がうまくつながらない。

初海外の自分にとって、電話はなかなか手ごわい相手だった。

すると、エースが代わりにかけてくれた。

本当に助かる。

どこまで助けてもらうんだ、自分。

でも、このときは素直にありがたかった。

明後日Maiと会う約束ができた

エースが電話をかけてくれたおかげで、無事にMaiと連絡が取れた。

そして、明後日の夕方に会う約束を取り付けることができた。

これで、タイでの大きな目的が一つ現実に近づいた。

韓国ではWonと会えた。

タイではMaiと会う。

ネットで知り合った人たちと、実際に海外で会う。

自分の中で、旅がまた次の展開へ進む感じがした。

初めての海外一人旅は、観光だけではなかった。

人に会う旅でもあった。

だからこそ、この電話は大きかった。

自分一人ではうまくつながらなかった。

でもエースが助けてくれた。

その結果、Maiと会う約束ができた。

本当に人に助けられてばかりである。

でも、この旅を通じて思うのは、旅はそうやって進んでいくものなのかもしれないということだ。

自分一人で全部できるわけではない。

特に初海外ならなおさら。

誰かが助けてくれる。

そのたびに、次の一歩が見えてくる。

バンコクの夜はまだ続く

夜になると、再び外へ出た。

この日の締めくくりも、やはり飲みだった。

前日はナナプラザで初めてバンコクの夜を見た。

この日もまた、バンコクの夜の空気を感じながら街を歩いた。

昼間の王宮や川の景色とはまったく違う。

夜のバンコクは、また別の顔を見せる。

ネオン。

人の流れ。

露店。

バー。

暑さが少し和らいでも、街の熱気は残っている。

初めての海外一人旅。

言葉も文化も違う中で、こうして一日を過ごしていること自体が不思議だった。

昨日までは韓国にいた。

今日はバンコクでトゥクトゥクに乗り、王宮を見て、チャオプラヤー川を進み、スネークファームでコブラに触り、カオサン通りを歩き、Maiと会う約束までした。

1日の情報量が多すぎる。

でも、充実していた。

疲れている。

でも、楽しい。

少し怖い。

でも、もっと見たい。

この感覚が、海外一人旅なのかもしれない。

エースと過ごした一日で見えたもの

この日、エースと一緒に行動したことで、自分一人では見られなかったバンコクを見ることができた。

トゥクトゥクの交渉も、自分一人ではかなり難しかったと思う。

王宮やワット・プラケオに行く流れも、ボートに乗る交渉も、スコール後の判断も、Maiへの電話も、エースがいたからスムーズに進んだ。

彼は旅慣れていた。

こちらは初海外の初心者。

完全に差があった。

でも、その差を見せつけるような感じではなく、自然に助けてくれた。

それがありがたかった。

旅先で、こういう人に出会えるかどうかは大きい。

もちろん、誰にでもついていけばいいわけではない。

今の自分なら、もっと慎重になる部分もある。

でも、エースは少なくともこの旅の中で、自分を助けてくれた大事な人だった。

彼がいなければ、バンコク初日と2日目はまったく違うものになっていたと思う。

旅って、人でできている。

前日も思ったけれど、この日もまた強くそう感じた。

異文化は観光地だけにあるわけじゃない

この日はいろいろな異文化に触れた。

王宮とワット・プラケオの豪華な装飾。

チャオプラヤー川の濁った水と川沿いの生活。

スネークファームのコブラショー。

カオサン通りのバックパッカーたち。

チャイナタウンの雑多な熱気。

でも、異文化は観光地だけにあるわけではない。

朝から薬局が開いていること。

トゥクトゥクの料金が交渉制なこと。

レモンジュースが暑さの中で異常に美味しく感じること。

川で体を洗う人がいること。

安い食事が必ずしも口に合うわけではないこと。

突然のスコールで予定が止まること。

そういう一つひとつも、全部異文化だった。

大きな観光地より、小さな違いのほうが記憶に残ることもある。

日本の当たり前が、ここでは当たり前ではない。

それを体で感じる。

暑さで汗をかきながら、トゥクトゥクに揺られながら、濁った川を見ながら、微妙なビーフシチューを食べながら、少しずつ理解していく。

これが海外に来るということなのだと思った。

まとめ

初めての海外一人旅5日目は、バンコクをしっかり観光した一日だった。

朝は8時過ぎに目を覚ました。

前日の夜はナナプラザで軽く飲んだあと、ホテルへ戻ってぐっすり眠っていた。

ぼんやりテレビを見ていると、ドアをノックする音があり、開けるとエースがいた。

「朝食を一緒にどうだ?」と誘ってくれて、外へ出ることにした。

バンコクの朝はすでに蒸し暑く、外に出た瞬間にむわっとした熱気に包まれた。

スクンビット通りやナナプラザ周辺には、朝から露店の準備が始まっていて、歩いているだけでも圧倒されるほど活気があった。

朝食の前に、エースが薬局へ寄りたいと言った。

奥さんのための薬を買うとのことで、こういうところを見ると本当に優しい人だと思った。

その後、近くの喫茶店のような店で、トーストとコーヒーのシンプルな朝食を食べた。

海外に来ているのに普通の朝食を食べているのが少し面白く、味も日本で食べるものに近くて安心感があった。

食事中にエースから「今日はどうするんだ?」と聞かれたが、自分は何も決めていなかった。

すると「一緒に観光しないか?」と誘ってくれたので、そのまま一緒に回ることにした。

一度ホテルに戻り、エースがPCルームで奥さんへメールを送ったあと、観光に出発した。

歩き始めてすぐ、トゥクトゥクの運転手に声をかけられた。

タイ名物の三輪タクシーで、料金は交渉制。

初めての自分には難しかったが、エースが慣れた様子で交渉してくれた。

初めて乗るトゥクトゥクは、風を感じながら走る感覚が新鮮で、日本では味わえない体験だった。

最初に向かったのは、王宮とワット・プラケオ。

到着すると観光客でいっぱいだった。

欧米人、日本人、アジア各国の人たちが集まっていて、さすがバンコクの定番スポットという感じだった。

私たちは日本語のガイドテープを借りて見学したが、借りる際にパスポートを預ける必要があり、少し緊張した。

敷地内の建物はどれも豪華で、装飾の細かさや色使いに圧倒された。

日本の寺社とはまったく違う、まさに異文化そのものだった。

暑さの中で飲んだレモンジュースは、とにかく美味しく、体に染み渡るようだった。

王宮を出ると、現地の人からボートに乗らないかと声をかけられた。

またしても交渉だったが、エースが値段を下げてくれたので、そのまま乗ることにした。

船着き場まではトゥクトゥクで移動し、そこからチャオプラヤー川のクルーズへ。

川を見て最初に思ったのは、思っていたよりかなり濁っているということだった。

茶色く濁った川は、日本の川とは全然違う印象だった。

それでも、ボートで走ると風が気持ちよく、1時間ほどのクルーズでさまざまな景色を見ることができた。

学校から手を振る子どもたち。

川で体を洗う人々。

観光地だけでは見えない、生活としてのタイを感じることができた。

途中ではスネークファームにも立ち寄った。

名前の通り蛇がたくさんいる施設で、コブラショーも行われていた。

せっかくなのでコブラを触らせてもらったが、正直かなり気持ち悪かった。

貴重な体験ではあるけれど、好き嫌いは分かれると思う。

昼食は近くの店でビーフシチューを注文した。

値段は300円程度と安かったが、味は正直イマイチ。

少し生臭さがあり、最後まで食べるのがきつかった。

海外では、安いからといって必ず美味しいとは限らないことを実感した。

その後、カオサン通りやチャイナタウンを散策した。

カオサン通りは噂通りバックパッカーだらけで、西洋人や日本人など、さまざまな国の人が集まっていた。

深夜特急に影響されて海外一人旅に出た自分にとって、カオサン通りを歩いていることは少し感慨深かった。

「自分もこういう旅人の一人になっているんだな」と感じた瞬間だった。

午後になると突然のスコール。

激しい雨で観光はそこで終了し、16時頃にはホテルへ戻ることになった。

エースからはキックボクシング観戦にも誘われたが、朝から動き回ってかなり疲れていたため断った。

その代わり、事前に連絡を取っていたタイの友人Maiに電話をすることにした。

自分ではうまくつながらなかったが、エースが代わりにかけてくれて、無事に連絡が取れた。

そして明後日の夕方に会う約束をすることができた。

韓国ではWonと会い、タイではMaiと会う。

ネットで知り合った人と海外で実際に会うという、この旅の大きな目的がまた一つ動き出した。

夜になると、再び外へ。

この日の締めくくりも飲みだった。

昨日とはまた違うバンコクの夜の空気を感じながら歩いた。

初めての海外一人旅。

言葉も文化も違う中で、こうして一日を過ごしていること自体が不思議で、同時にとても充実していた。

5日目は、エースとの行動を通じて、バンコクをしっかり観光した一日だった。

トゥクトゥクの交渉。

王宮やワット・プラケオの豪華な建物。

チャオプラヤー川のクルーズ。

スネークファーム。

カオサン通り。

チャイナタウン。

そしてMaiとの約束。

全部が初めてで、全部が刺激的だった。

一方で、川の濁りや微妙な食事、突然のスコールなど、リアルなカルチャーショックも多かった。

でも、それこそが海外に来ているという実感だった。

きれいな景色だけではない。

美味しいものだけでもない。

驚くこと、戸惑うこと、少しきついことも含めて、旅の記憶になっていく。

この日もまた、エースにかなり助けられた。

彼がいなければ、トゥクトゥクにもスムーズに乗れなかったし、ボートの交渉も難しかったし、Maiへの電話もつながらなかったかもしれない。

旅は人でできている。

韓国でもそう思ったが、バンコクでも同じだった。

初海外一人旅は、まだ続く。

Maiとの約束もできた。

ここからどんな出会いや出来事が待っているのか、楽しみがさらに膨らんできた。

ただ一つ言えるのは、バンコクは暑くて、濃くて、情報量が多い。

そして、コブラはやっぱり触るものじゃない。

いや、触ったからこそ言えるんだけど。

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