最近ふと思った。
今って、オフ会ってあるのだろうか。
もちろん、あるところにはあるのだと思う。
SNSで知り合った人と会う。
オンラインゲーム仲間と会う。
趣味のコミュニティで集まる。
DiscordやX、Instagram、YouTube、配信界隈など、今でもネット発のつながりはたくさんある。
でも、自分が若い頃に参加していたオフ会とは、少し空気が違う気もする。
今は、ネットで人と会うことに対して、良くも悪くも慎重な空気がある。
相手が本当にその人なのか。
会って大丈夫なのか。
トラブルはないのか。
そういう警戒心は、今のほうがずっと強いと思う。
それは大事なことだ。
ネットの出会いには、もちろん気をつけるべき面もある。
ただ、自分がネットを始めた頃は、もう少し違う空気だった。
良く言えば素朴。
悪く言えば無防備。
でも、たしかにそこには、今では少し考えにくいような距離の近さがあった。
ネットで知り合って、毎晩のようにゲームをして、掲示板で話して、気づいたらリアルで会っている。
それがそこまで不思議ではなかった。
今回は、そんなYahooゲームのHearts仲間と初めて会ったオフ会の記憶を書いてみたい。
今ってオフ会ってあるのだろうか
今でも「オフ会」という言葉は残っていると思う。
オンラインで知り合った人たちが、リアルで集まる。
オンラインの「オン」に対して、オフラインで会うからオフ会。
言葉としてはシンプルだ。
ただ、自分が大学時代に体験したオフ会は、今思うとかなり独特だった。
ネットの向こうにいる人たちと、実際に会う。
しかも、最初から飲み会だけではない。
まず遊ぶ。
観光する。
ゲーセンに行く。
水族館に行く。
そのあと飲む。
さらにカラオケに行く。
最後にリアルでHeartsをやる。
なかなか濃い。
今の自分の体力では、途中で帰りたくなるかもしれない。
いや、たぶん帰りたくなる。
でも当時は、それが楽しかった。
若さもある。
時間もある。
勢いもある。
そして何より、ネット仲間とリアルで会えること自体が、かなり特別だった。
今のようにSNSで顔写真や近況を見ているわけではない。
普段知っているのは、IDとチャットの言葉とゲーム中の動き。
それだけ。
それなのに、会うと不思議と「知ってる人」だった。
すべての始まりはYahooゲームのHearts
自分にとって、ネット仲間とのつながりの原点はYahooゲームのHeartsだった。
Yahooゲーム。
懐かしい。
当時のYahooには、ブラウザ上で遊べるゲームがいろいろあった。
トランプゲーム、リバーシ、麻雀、ボードゲーム系。
その中でも自分がどっぷりハマっていたのがHeartsだった。
4人で遊ぶトランプゲーム。
ルールはそこまで複雑ではない。
でも、やればやるほど奥が深い。
誰に点を押し付けるか。
トップをどう止めるか。
誰が何を狙っているか。
点数状況によって、場の空気が一気に変わる。
ただのカードゲームなのに、かなり心理戦だった。
自分はこのHeartsにかなりハマっていた。
日本版だけでなく、海外版のYahoo Heartsにも手を出していたくらいだから、なかなか本気である。
当時のIDは「tomosuke_」。
今思うと少し恥ずかしい。
でも、あの頃はそれが自分のネット上の名前だった。
そしてYahooゲームには、ゲームごとの掲示板のような場所があった。
そこが、仲間たちとの交流の場になっていた。
掲示板文化があった時代
当時は、今のようなSNS中心の時代ではなかった。
XもInstagramもない。
LINEもない。
Discordもない。
今のように、グループチャットでリアルタイムに全部決めるような仕組みもなかった。
中心にあったのは掲示板だった。
YahooゲームのHearts掲示板では、いろいろなやり取りがあった。
対戦募集。
雑談。
ランキングの話。
強いプレイヤーの話。
ゲーム中の出来事。
そして、オフ会の募集。
完全に掲示板文化である。
誰かが書き込む。
それに誰かが返信する。
しばらくして、また誰かが反応する。
今のチャットに比べると、流れはゆっくりだった。
でも、そのゆっくりさが良かった。
掲示板には、独特の空気があった。
名前を見れば、誰か分かる。
「あ、この人また書いてる」
「あ、この人強い人だ」
「あ、この人よくいるな」
そんな感じで、少しずつ常連感が生まれていく。
ネット上の場所なのに、どこか部室みたいだった。
掲示板から始まるオフ会
オフ会の流れは、とてもシンプルだった。
誰かが掲示板に書き込む。
「今度オフ会やりませんか?」
それに対して、
「行きます」
「参加したいです」
「場所どこですか?」
「何時集合ですか?」
と返信がつく。
それだけ。
今みたいに、日程調整ツールを使うわけでもない。
グループLINEもない。
既読もない。
リアクションボタンもない。
それでも、ちゃんと成立していた。
考えてみると不思議である。
でも当時は、それで十分だった。
掲示板でざっくり決めて、当日集合する。
誰が来るのか、完全には分からないこともある。
集合場所に行ってみたら、思ったより人数が多い。
あるいは少ない。
でも、それも含めてオフ会だった。
このゆるさが、逆に良かったのだと思う。
今なら、もっときっちり管理されるかもしれない。
人数、場所、連絡先、注意事項。
それはそれで安心だけれど、当時はもっと勢いがあった。
「会ってみよう」
その気持ちだけで動いていた部分がある。
初めて参加するときは少し怖かった
自分も、その流れでオフ会に参加した。
正直、最初は少し怖かった。
顔も知らない人と会う。
今考えると、なかなか思い切ったことをしている。
ネット上では毎日のように話している。
一緒にゲームもしている。
掲示板でもやり取りしている。
でも、リアルで会ったことはない。
声も知らない。
身長も分からない。
年齢もざっくりしか知らない。
本当にその人が来るのかも分からない。
普通に考えれば、不安になる。
でも当時は、その不安よりも、
「会ってみたい」
という気持ちの方が強かった。
ネットの向こうにいるあの人たちは、実際にはどんな人なのか。
あのIDの人は、どんな顔をしているのか。
ゲーム中にあんなプレイをする人は、リアルでもあんな感じなのか。
そういう好奇心があった。
今ならもう少し慎重になると思う。
でも当時は、ネットそのものがまだ新鮮だった。
知らない人とつながることも、会うことも、少し冒険のようだった。
会った瞬間に分かる「知ってる人」感
実際に会ってみて、不思議な感覚になった。
初対面なのに、
「あ、もう知ってる人だ」
と思った。
これは本当に不思議だった。
顔は初めて見る。
声も初めて聞く。
でも、すでに知っている。
なぜなら、毎日のようにチャットしていたから。
ゲームも一緒にしていたから。
1日3時間、4時間と普通にネット上で一緒に過ごしていたから。
リアルの友人以上に、時間を共有していることもあった。
だから、初対面なのに違和感が少ない。
最初の挨拶も軽い。
「あ、どうもー」
くらい。
もっと緊張するかと思ったけれど、意外と普通だった。
もちろん、最初は少しぎこちなさもある。
でも、会話のネタには困らない。
ゲームの話がある。
掲示板の話がある。
ランキングの話がある。
共通の知り合いもいる。
だから、会ってすぐに話ができる。
ネット上で積み重ねた時間は、リアルでもちゃんと効いていた。
オフ会はいきなり飲みではなかった
当時のオフ会で面白かったのは、いきなり飲み会ではなかったことだ。
まず遊ぶ。
これが基本の流れだった。
今なら、オフ会というと居酒屋に集まって飲むイメージもあるかもしれない。
でも自分たちの場合、まずはどこかに行って遊ぶことが多かった。
観光する。
水族館に行く。
ゲームセンターに行く。
街を歩く。
そのあとに飲み会。
この流れが自然だった。
いきなり居酒屋で向かい合うより、何かを一緒に見たり遊んだりした方が打ち解けやすい。
最初はぎこちなくても、同じ場所を歩いていると会話が生まれる。
「これすごいね」
「あれ見た?」
「こっち行ってみる?」
そんな軽い会話で十分だった。
ネット上では長く知っていても、リアルでは初対面。
だからこそ、最初に遊びの時間があるのは良かった。
それが助走になって、その後の飲み会やカラオケがより楽しくなる。
今思えば、かなり良い流れだったと思う。
東京オフ会は池袋が多かった
東京でのオフ会は、池袋が多かった。
池袋は集まりやすかったのだと思う。
駅も大きいし、いろいろな路線が通っている。
遊ぶ場所も多い。
飲む場所もある。
カラオケもある。
ゲームセンターもある。
オフ会にはちょうどいい場所だった。
中でも印象に残っているのが、サンシャインシティでのオフ会だ。
まず池袋で集合して、サンシャイン方面へ向かう。
水族館に入ったりして、みんなでゆるく回る。
今思うと、ネットゲーム仲間で水族館というのも面白い。
Heartsで心理戦をしていたメンバーが、魚を見ている。
かなり平和である。
でも、それが良かった。
ゲーム中は、誰かを潰しにいったり、点数を押し付けたりしている。
でもリアルでは、水槽の前で普通に魚を見ている。
そのギャップが面白かった。
サンシャインシティで自然に打ち解ける
サンシャインシティをみんなで歩いていると、自然と会話が生まれた。
「この魚でかくない?」
「これちょっと怖いな」
「どこ行く?」
「腹減ったね」
本当にどうでもいい会話。
でも、それでいい。
むしろ、最初のオフ会にはそういうどうでもいい会話が必要だったのだと思う。
いきなり深い話をする必要はない。
ゲームの戦略を語り合う必要もない。
ただ同じ場所を歩き、同じものを見る。
それだけで、少しずつ距離が縮まる。
最初は少しぎこちなかった空気も、時間が経つにつれてほぐれていく。
気づいたら普通に笑っている。
初対面なのに、前から知っていたような感じになる。
これがオフ会の不思議なところだった。
ネット上ではすでに関係ができている。
でもリアルでは初めて。
その二つが合わさることで、独特の距離感が生まれる。
サンシャインシティは、その記憶とセットで残っている。
大阪オフ会は通天閣へ
関西のオフ会も印象に残っている。
場所は大阪。
行ったのは通天閣だった。
東京のオフ会とはまた違った雰囲気だった。
池袋やサンシャインの都会的な感じとは違い、通天閣周辺には独特の空気があった。
観光地感もあるし、大阪らしいにぎやかさもある。
みんなで歩いていると、少し遠足のような気分になった。
自分はそのとき、三重の祖父母の家から合流した。
普段とは違う場所。
知らない土地。
それでも、不思議と安心感があった。
なぜなら、あいつらがいるから大丈夫、という感覚があったからだ。
ネットで知り合った仲間なのに、そう思える。
これも今考えると不思議である。
でも当時は、かなり自然だった。
毎日のようにゲームで会っていた人たち。
チャットで話していた人たち。
リアルで会う場所が東京でも大阪でも、根っこの安心感は変わらなかった。
知らない土地でも仲間がいれば大丈夫
大阪オフ会で感じたのは、場所よりも人が大事だということだった。
自分にとって大阪は、普段行き慣れた場所ではなかった。
土地勘もそこまでない。
でも、そこにYahooゲームの仲間たちがいる。
それだけで安心できた。
知らない街でも、知っている人がいれば不安は少なくなる。
しかも、その知っている人というのが、リアルでの知り合いではなく、ネットゲームで知り合った仲間たち。
この関係性が、当時は本当に面白かった。
ゲーム中のIDで呼び合う。
あだ名で呼ぶ。
本名を知っている人もいれば、IDの方がしっくりくる人もいる。
リアルで会っているのに、ネットの名前が自然に出る。
それが不思議ではなかった。
むしろ、その方がその人らしい感じすらあった。
通天閣に行ったことそのものも覚えているけれど、それ以上に、ネット仲間と知らない街を歩いた感覚が残っている。
遊んだあとは居酒屋へ
ひと通り遊んだあとは、居酒屋へ向かった。
ここで一気に距離が縮まる。
すでに一緒に遊んだあとだから、最初から空気がやわらかい。
いきなり飲み会だったら、もう少し緊張していたかもしれない。
でも、水族館や観光で一緒に時間を過ごしたあとなら、もうかなり打ち解けている。
居酒屋では、当然ゲームの話になる。
Heartsの話。
ランキングの話。
「あのときのプレイやばかったよな」
「あれ絶対狙ってたでしょ」
「あそこであのカード出すのはないわ」
そんな話で盛り上がる。
オンラインでやっていたことを、リアルで語る。
これがめちゃくちゃ楽しかった。
普段はチャットでしか話せない。
でも目の前に本人がいて、笑いながら話せる。
これだけで、かなり特別だった。
ゲームの中での出来事が、リアルの飲み会のネタになる。
今ではオンラインゲーム仲間の飲み会も珍しくないのかもしれない。
でも当時の自分には、かなり新鮮だった。
オンラインの出来事をリアルで語る楽しさ
Heartsは、地味に人間性が出るゲームだった。
誰を狙うか。
いつ勝負に出るか。
危険なカードをどう処理するか。
トップを止めるのか、自分の順位を守るのか。
そういう判断に、その人の癖が出る。
だから、リアルで会うとその話が止まらない。
「あのプレイは性格悪い」
「いや、あれは戦略」
「絶対こっち狙ってた」
「覚えてない」
そんなやり取りが楽しかった。
ゲーム中は、本気で悔しかったこともある。
でもリアルで話すと笑い話になる。
オンラインでのライバルが、居酒屋では普通に隣で飲んでいる。
この感じが良かった。
ネット上の関係が、リアルに少しずつ広がっていく。
でも、完全にリアルの友達とも違う。
ネットでの関係が土台にあるから、話題も空気も独特だった。
オフ会の楽しさは、まさにそこにあったと思う。
カラオケでさらに盛り上がる
居酒屋のあとは、だいたいカラオケへ行く流れだった。
これも当時のオフ会らしい。
飲んで、話して、笑って、そのままカラオケ。
若い。
本当に若い。
今なら、居酒屋が終わった時点で、
「そろそろ帰ろうか」
となる気がする。
でも当時は、そこからまだ続く。
カラオケに行くと、さらにテンションが上がる。
歌う人。
聞く人。
やたら盛り上げる人。
選曲に時代が出る人。
歌がうまい人。
ネタに走る人。
これもまた、その人の性格が出る。
ネット上では分からなかった一面が見える。
「あ、この人こういう曲歌うんだ」
「あれ、意外とうまい」
「この人ずっと盛り上げてるな」
そういう発見がある。
カラオケは、オフ会の距離をさらに縮める場所だった。
声を聞き、表情を見て、一緒に笑う。
オンラインとは違う、その場の熱があった。
締めはリアルHearts
そして、最後はやっぱりリアルHeartsだった。
これが一番盛り上がる。
普段は画面越しにやっているHeartsを、実際のトランプでやる。
顔を見ながらの心理戦。
これがまた面白い。
オンラインでは、相手の表情は見えない。
IDとカードの出し方だけで判断する。
でもリアルHeartsでは違う。
顔が見える。
声が聞こえる。
ちょっとした表情が見える。
カードを出すときの間も分かる。
これはこれで、別の緊張感がある。
「あ、今迷ったな」
「その顔、怪しい」
「絶対何か持ってる」
そんなやり取りが生まれる。
オンラインとは違うけれど、根っこは同じ。
読み合い。
駆け引き。
笑い。
その全部が混ざる。
これがオフ会の完成形だった気がする。
YahooゲームのHeartsで知り合った仲間たちが、リアルで集まって、本物のトランプでHeartsをする。
今思うと、かなりきれいな流れである。
ゲームセンターとDDRの記憶
オフ会の写真を見ると、ゲームセンターで遊んでいる場面も残っている。
そういえば、当時はDance Dance Revolution、いわゆるDDRが人気だった。
ゲームセンターに行くと、DDRの周りに人が集まっていた。
音楽に合わせて足元のパネルを踏む。
見ているだけでも楽しかったし、上手い人は本当にすごかった。
今の感覚だと、体を動かす音楽ゲームは珍しくない。
でも当時のDDRには、かなりのインパクトがあった。
ゲームセンターの中でも目立つ存在だった。
オフ会でゲーセンに行って、みんなでDDRを見たり遊んだりする。
これもまた時代を感じる。
ネットゲーム仲間なのに、リアルではゲームセンターで遊ぶ。
オンラインでもゲーム。
オフラインでもゲーム。
完全にゲーム中心の青春である。
でも、それが楽しかった。
写真に写っている当時の空気を思い出すと、少し笑ってしまう。
みんな若い。
そして元気だ。
今でも覚えている仲間たち
20年以上経っているのに、今でも覚えている名前がある。
ヤギ。
アキラ。
イェンダー。
ヘイロー。
てつ。
イシエル。
コーヒーマグ。
チアキ。
みー。
IDなのか、あだ名なのか、本名に近いものなのか。
今となっては少し曖昧なものもある。
でも、名前は残っている。
それだけ印象が強かったのだと思う。
ネット上で毎日のように会っていた人たち。
ゲームで戦った人たち。
掲示板で話した人たち。
オフ会で会った人たち。
飲んだり、カラオケに行ったり、リアルHeartsをした人たち。
今はもう、ほとんど連絡を取っていない。
どこで何をしているのかも分からない。
でも、名前を見れば当時の空気を思い出す。
これは不思議だ。
リアルの友人とは違う。
でも、ただのネット上の知り合いでもなかった。
あの頃の自分にとっては、間違いなく仲間だった。
男女関係なく仲間だった
当時のオフ会で、今と少し違うなと思うのは、男女関係なく仲間だった空気だ。
もちろん、男女が集まれば、恋愛っぽい雰囲気がまったくなかったわけではないと思う。
でも、自分の記憶の中では、恋愛目的というより、一緒に遊ぶ仲間という感覚が強かった。
Hearts仲間。
Yahooゲーム仲間。
掲示板仲間。
その感覚が先にあった。
男性も女性もいた。
でも、まずはゲーム仲間だった。
だから自然体でいられた。
変に構えすぎることもなく、普通に遊んで、普通に話して、普通に笑う。
この空気が良かった。
ネットの出会いというと、今はどうしても恋愛やマッチングを想像しやすい。
でも当時の自分にとってのネット仲間は、少し違った。
一緒に遊ぶ人たち。
毎晩のようにオンラインで会う人たち。
それがリアルでも集まった。
そういう関係だった。
泊まりに行ったり泊めたりもした
今考えると少し驚くのが、泊まりに行ったり、泊めたりしていたことだ。
ヘイローの家に泊まりに行ったことがある。
場所は千葉の松戸だった。
なぜ泊まったのかは、正直あまり覚えていない。
でも、泊まったことは覚えている。
普通に泊まって、ご飯を食べて、映画を観た。
完全に友達である。
ネットゲームで知り合った相手の家に泊まる。
今考えると、なかなかすごいことをしている。
でも当時は、そこまで特別な感じでもなかった。
逆に、ヤギを自分の家に泊めたこともある。
しかも実家。
就職活動で東京に来ていて、泊まる場所がないからだったと思う。
これも今思うと結構すごい。
ネット仲間を実家に泊める。
今なら家族に説明するだけでも大変そうだ。
でも当時は、それくらい距離が近かった。
ネットから始まった関係が、普通に友人関係になっていた。
社会人メンバーの優しさ
オフ会のメンバーには、社会人の人もいた。
この人たちが本当に優しかった。
大学生だった自分からすると、社会人メンバーは少し大人に見えた。
実際、大人だった。
金銭的にも、車を持っていたり、時間の使い方にも余裕がある人がいた。
カラオケで朝まで遊んで、
「大学間に合わない」
となったとき。
車で送ってくれたことがある。
今思うと、かなりありがたい。
そして、かなり甘えている。
大学生というのは、本当にいろいろな人に助けられている。
当時は、
「助かった」
くらいに思っていたかもしれない。
でも今振り返ると、社会人メンバーの優しさは大きかった。
ネット上の仲間なのに、リアルでそこまでしてくれる。
それだけ関係ができていたのだと思う。
オフ会には、そういう温かさもあった。
そういえば東風荘も流行っていた
そういえば、当時は東風荘も流行っていた。
麻雀のネット対戦である。
自分はやっていなかった。
麻雀にそこまで興味がなかったからだ。
でも、周りではやっている人も多かったし、名前はよく聞いていた。
YahooゲームのHearts。
東風荘。
ICQ。
IRC。
メル友。
掲示板。
当時のネットには、人とつながる場所がたくさんあった。
今のようにSNSが全部をまとめている感じではなく、いろいろなサービスごとに小さなコミュニティがあった。
その一つひとつに、常連がいて、空気があって、文化があった。
東風荘をやっている人たちにも、きっと同じような仲間意識があったのだと思う。
自分は麻雀には深く入らなかったけれど、ネットで人と長時間遊び、そこから関係ができていく感覚はよく分かる。
あの頃のネットは、どのサービスでも人とつながることが当たり前になり始めた時代だった。
なぜそこまで仲良くなれたのか
なぜ、そこまで仲良くなれたのか。
理由はシンプルだと思う。
一緒にいる時間が長かったから。
毎日ログインする。
同じ時間帯に集まる。
何時間も一緒にゲームをする。
チャットをする。
掲示板で話す。
それを何日も、何週間も、何ヶ月も繰り返す。
そりゃ仲良くなる。
リアルの友人でも、そんなに長時間一緒に遊ぶことは少ないかもしれない。
でもネットゲーム仲間とは、毎晩のように会っていた。
画面越しではあるけれど、共有している時間は本物だった。
ゲーム中の悔しさも、勝ったときのうれしさも、夜中の雑談も、全部一緒に経験している。
だから、リアルで会ったときにも距離が近かった。
初対面なのに初対面ではない。
この不思議な感覚は、そこから来ていたのだと思う。
時間は関係を作る。
それがオンラインでも同じだった。
あの時間は間違いなく本物だった
今となっては、会うことはないと思う。
連絡先も分からない人が多い。
当時の掲示板も、Yahooゲームのあの空気も、同じ形では残っていない。
それぞれ社会人になり、家庭を持った人もいるだろう。
別の地域に住んでいる人もいるだろう。
もうゲームをしていない人も多いかもしれない。
それでも、あの時間は間違いなく本物だったと思う。
ネットで知り合ったからといって、薄い関係だったわけではない。
IDしか知らないからといって、軽い関係だったわけでもない。
毎日遊び、笑い、悔しがり、実際に会い、飲み、歌い、泊まり合った。
それは十分に濃い関係だった。
今の自分から見ると、少し不思議で、少し危なっかしくて、でもとても温かい。
あの頃のネットには、そういう距離感があった。
もう同じ形では戻らないかもしれない。
でも、あの頃の仲間たちの名前を思い出すと、少しだけ胸が温かくなる。
まとめ
YahooゲームのHeartsから始まったつながりは、気づけばリアルのオフ会にまで広がっていた。
掲示板で知り合い、毎日のようにゲームをして、池袋サンシャインや大阪の通天閣で実際に会うようになった。
遊んで、飲んで、カラオケに行って、最後はリアルHearts。
ゲームセンターではDDRも流行っていて、写真を見ると当時の熱気を思い出す。
ヤギ、アキラ、イェンダー、ヘイロー、てつ、イシエル、コーヒーマグ、チアキ、みー。
20年以上経っても覚えている名前がある。
泊まりに行ったり、実家に泊めたり、社会人メンバーに車で送ってもらったり。
今考えると不思議だけれど、あの頃はそれが自然だった。
もう会うことはないかもしれない。
でも、あの時間は間違いなく本物だった。
ネットの仲間と初めて会った日の記憶は、今でも大切な思い出として残っている。




