
見切り品の野菜をまとめて買ったものの、使い切れずに野菜室で傷ませてしまう。
そんな経験がある方も多いのではないでしょうか。
以前の記事では、肉・魚・パンの冷凍保存について紹介しました。実は野菜も、正しい方法で冷凍すれば、無駄にせず長く使うことができます。
ただし、野菜は肉や魚以上に、種類によって適した冷凍方法が分かれる食材です。生のまま冷凍できる野菜もあれば、下ゆでしてから冷凍した方がよい野菜、冷凍すると食感が大きく変わる野菜もあります。
この記事では、農林水産省が紹介している野菜の冷凍方法をもとに、種類ごとの下ごしらえと保存のコツを整理します。
目次
- 野菜は「生」のまま冷凍できる物が多い
- 基本の冷凍手順
- 下ゆでしてから冷凍する野菜
- 冷凍すると食感が変わりやすい野菜
- 野菜ごとの冷凍しやすさの目安
- 解凍せず、凍ったまま調理する理由
- 保存期間の目安
- 複数の野菜をセットで冷凍する
- 冷凍庫での保管方法
- よくある失敗
- よくある質問
- まとめ
野菜は「生」のまま冷凍できる物が多い
「野菜を冷凍する」と聞くと、下ゆでが必要なイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし農林水産省によれば、多めに買った野菜は、生の状態のまま冷凍する方法がおすすめとされています。下準備に多少時間はかかるものの、あらかじめ切って冷凍しておけば、後から洗ったり切ったりする手間が省け、時短にもつながります。
にんじん、玉ねぎ、大根など、多くの野菜が生のまま冷凍できます。特別な調理をせず、洗って切るだけで保存できる点は、忙しい日の強い味方になります。
基本の冷凍手順
農林水産省が紹介している野菜の冷凍手順は、次の4ステップです。
1. 洗える野菜は流水で洗い、料理しやすい大きさに切る
2. キッチンペーパーではさんで軽く叩くようにし、余分な水気をふき取る
3. 冷凍保存袋に入れ、できるだけ空気を抜いて口を閉じ、厚みを平らにならす
4. アルミなどの金属トレーにのせて冷凍庫へ入れる
ポイントは、熱伝導のよい金属製(アルミ・ステンレス)のバットやトレーを使うことです。手早く凍らせることで、味や食感、おいしさを保ちやすくなります。冷凍庫の扉を開け閉めしない時間帯(就寝時など)に冷凍すると、より効率よく凍らせられます。
以前の記事で紹介した「立てて収納する」という冷凍庫の使い方は、野菜でも同様に活用できます。平らに凍らせた野菜を、袋のまま立てて並べれば、何が入っているか一目で分かりやすくなります。
下ゆでしてから冷凍する野菜
野菜によっては、下ゆでしてから冷凍する方法が向いています。
農林水産省によると、ほうれん草、山菜、たけのこなど、あく抜きが必要な野菜は、下ゆでしてから冷凍するのがよいとされています。
下ゆでする場合は、次の流れが基本です。
1. 熱湯でかために下ゆでする
2. 冷水にとって色止めする
3. 水気をしっかり切る
4. 使いやすい大きさに切る
5. 1回分ずつ小分けにして冷凍用保存袋へ入れる
下ゆでの工程が一つ増える分、生のまま冷凍する野菜より手間はかかりますが、あくが強い野菜は、下ゆでを省くと風味や食感が落ちやすくなります。
冷凍すると食感が変わりやすい野菜
野菜を冷凍すると、細胞が壊れ、解凍したときに水分が抜け出ます。これによって、生のときとは食感が変わる野菜があります。
レタスなどサラダに使う葉物野菜は、冷凍すると食感が大きく変わります。シャキシャキとした生の食感を楽しむ用途には向きませんが、加熱調理する前提であれば、使い切れる量にカットして冷凍する方法もあります。
きゅうりやもやしも、水分が多く食感が変わりやすい野菜です。ただし、「冷凍できない」わけではありません。薄切りにして塩もみし、水気を絞ってから冷凍する方法のほか、農林水産省のサイトに掲載されているシンポジウム講演資料では、きゅうりを丸ごとラップに包んで冷凍する方法や、もやしを袋ごと冷凍する方法も紹介されています。どちらの方法でも生の状態のシャキシャキ感は失われますが、加熱調理やあえ物、すりおろして使うなど、冷凍後の状態に合った使い方をすれば十分活用できます。
トマトは、冷凍すると生のトマトと同じ食感には戻りにくくなります。一方で、加熱料理に使うほか、凍ったまますりおろしてトッピングにする、シャーベット状にして食べるなど、冷凍後の状態を生かした使い方もできます。生食用として使うか、冷凍ならではの食べ方をするかによって、向いている使い道が変わることも覚えておくとよいでしょう。
野菜ごとの冷凍しやすさの目安
ここまでの内容を、野菜の種類ごとに簡単に整理します。
生のまま冷凍しやすい野菜
にんじん、玉ねぎ、大根、ピーマン、きのこ類など。洗って切って水気を拭くだけで、そのまま冷凍庫へ入れられます。
あくが強く、下ゆでしてから冷凍する方法が向く野菜
ほうれん草、山菜、たけのこなど。あく抜きが必要な野菜は、下ゆでしてから冷凍すると風味を保ちやすくなります。なお、ほうれん草や小松菜は、生のまま切って冷凍し、加熱調理に使う方法が紹介されている資料もあります。下ゆでするかどうかは、使う料理や好みに応じて選んでもよいでしょう。
冷凍すると食感が変わりやすい野菜
レタスなどサラダ用の葉物野菜、きゅうり、もやしなど、水分が多く生食を前提とした野菜。適切な下ごしらえをすれば冷凍自体は可能ですが、生のシャキシャキとした食感は失われるため、加熱調理やあえ物など、食感の変化が気にならない料理に使うのがおすすめです。
この分類はあくまで目安です。同じ野菜でも、家庭ごとの使い方によって向き・不向きの感じ方は変わります。まずは少量から試し、自分の家庭の料理に合うかどうかを確かめてみるとよいでしょう。
解凍せず、凍ったまま調理する理由
冷凍した野菜を使うときは、解凍せず、凍ったまま調理に使います。
先ほど触れたとおり、冷凍すると野菜の細胞が壊れ、解凍時に水分が流れ出します。一見マイナスに思えるこの性質ですが、実は調理に活用できます。
凍ったままの大根やじゃがいも、にんじんなどの根菜類を、沸騰した煮汁にそのまま加えて煮込むと、味がしみ込みやすくなります。これは浸透圧の働きによるもので、野菜から流れ出た水分の代わりに、調味料の塩分がしみ込んでいくためです。溶け出た水分には野菜の旨みや栄養も含まれているため、みそ汁や野菜スープに使うのもよい方法です。
一度解凍すると水分が出て食感が変わりやすいため、煮物やスープなどでは、基本的に凍ったまま調理するのがおすすめです。
保存期間の目安
農林水産省の「簡単な冷凍ワザ」では、家庭で冷凍した野菜は3週間を保存の目安としています。これは、家庭の冷凍庫で管理しやすい一つの目安と考えるとよいでしょう。品目や冷凍方法によっては、これより長い期間の目安が案内されている場合もあるため、気になる野菜がある場合は、個別に確認してみることをおすすめします。
肉や魚と同様に、冷凍すれば無期限に保存できるわけではありません。冷凍庫の中で存在を忘れ、何か月も置いたままにすると、風味や食感が落ちていきます。
保存袋には、野菜の名前と冷凍した日付を書いておくと、3週間という目安を意識しやすくなります。以前の記事で紹介した「先に食べる場所」を冷凍庫にも作り、期限が近い野菜から使う習慣をつけると、無駄になりにくいでしょう。
複数の野菜をセットで冷凍する
複数の野菜を組み合わせてセットにしておくと、忙しいときに便利です。たとえば、じゃがいも・にんじん・玉ねぎをセットで冷凍しておけば、カレーやシチュー、肉じゃがなどにそのまま使えます。
みそ汁用に、好きな具材を組み合わせたストックを用意しておく方法もあります。半端に余った野菜は、カットしてストック袋に足していくこともできます。袋を一度開封しても、しっかり空気を抜いて密封すれば残りはそのまま保存できます。
冷凍庫での保管方法
以前の記事で紹介したとおり、冷凍庫は食品をある程度詰めた方が冷気を保ちやすくなりますが、何が入っているか分からないほど詰め込むと存在を忘れてしまいます。
平らに冷凍した野菜は、袋のまま立てて並べると中身を確認しやすくなります。肉・魚のエリアと野菜のエリアを大まかに分けておくと、必要な食材を探す時間も短縮できます。
よくある失敗
野菜の冷凍保存では、次のような失敗が起こりがちです。
- 水分をしっかり拭き取らずに冷凍し、霜がつきやすくなる
- レタスなど食感が変わりやすい野菜を、生食のつもりで冷凍してしまう
- 冷凍した野菜を一度解凍してから調理し、水っぽくなる
- 保存期間の目安(3週間)を大きく超えて放置する
- 何を冷凍したか忘れ、同じ野菜を買い足してしまう
よくある質問
Q. すべての野菜は生のまま冷凍できますか?
多くの野菜は生のまま冷凍できます。ほうれん草や山菜、たけのこなど、あくが強い野菜は下ゆでしてから冷凍する方法が向いています。レタスなど水分の多い葉物野菜は、冷凍によって食感が大きく変わるため、生食用としては避けた方がよいでしょう。きゅうりやもやしも食感は変わりますが、きゅうりは塩もみや丸ごと冷凍、もやしは袋ごと冷凍するなど、野菜に合った方法を選べば活用できます。
Q. 冷凍した野菜は解凍してから使うべきですか?
基本的には解凍せず、凍ったまま調理に使います。特に煮物やスープなど加熱調理する料理では、凍ったまま加えることで、かえって味がしみ込みやすくなります。
Q. 冷凍野菜はどのくらい保存できますか?
農林水産省の「簡単な冷凍ワザ」では、家庭で冷凍した野菜の目安として3週間が案内されています。品目によってはこれより長い目安が示されている場合もありますが、家庭で管理しやすい基準として3週間を意識し、日付を書いて期限が近い物から使うとよいでしょう。
Q. 見切り品の野菜を冷凍する場合、何か違いはありますか?
基本的な手順は同じです。ただし、見切り品は購入時点ですでに鮮度が落ち始めていることもあるため、状態を確認し、できるだけ購入した日のうちに冷凍するとよいでしょう。
Q. 冷凍した野菜を使い忘れないコツはありますか?
保存袋に野菜の名前と冷凍した日付を書き、冷凍庫の目につく場所に立てて並べておくと、存在を忘れにくくなります。新しく冷凍した物は奥へ、古い物は手前に置くようにすると、期限が近い物から自然に使えます。
まとめ
野菜は、肉や魚と同じように、正しい方法で冷凍すれば無駄にせず活用できる食材です。
多くの野菜は、洗って切って水気を拭くだけで、生のまま冷凍できます。ほうれん草や山菜などあくの強い野菜は下ゆでしてから、レタスなど水分の多い葉物野菜は、生食用ではなく用途に合わせて冷凍方法を選ぶというように、野菜の種類によって適した方法を選ぶことが大切です。
冷凍した野菜は、解凍せず凍ったまま調理に使うと、浸透圧の働きで味がしみ込みやすくなります。家庭で管理しやすい保存期間の目安として3週間程度を意識し、日付を書いて、期限が近い物から使うようにしましょう。
見切り品で野菜を安く買えたときも、冷凍という選択肢があれば、無理に使い切ろうとせず、必要なタイミングで少しずつ活用できます。今日買った野菜のうち、すぐに使わない分から、冷凍保存を試してみてください。