
「自炊した方が節約になる」
これは、多くの人が当たり前のように思っていることではないでしょうか。
わが家も相方との二人暮らしですが、食費を見直そうとするとき、最初に浮かぶのはやはり「もっと自炊を増やそう」という発想でした。
ただ、実際に1食あたりのコストを丁寧に計算してみると、話はそれほど単純ではありません。食材を余らせて捨ててしまえば、自炊のコストは見た目より高くなります。逆に、外食でも定食やセットメニューをうまく選べば、思ったほど高くつかないこともあります。
この記事では、自炊と外食・中食(総菜や弁当)のコストを、1食あたりという単位で比較する考え方を整理します。
目次
- 「自炊は安い」は本当か
- 1食あたりのコストの考え方
- 試算例:自炊のコスト
- 食材選びでもコストは変わる
- 試算例:外食・中食のコスト
- 自炊が高くつくケース
- 外食・中食を選んだ方が無駄を抑えやすい場合
- 1週間で振り返ってみる
- 二人暮らしでの考え方
- よくある失敗
- よくある質問
- まとめ
「自炊は安い」は本当か
自炊が外食より安くなりやすいのは事実です。食材そのものの原価と、店舗で提供される料理の価格を比べれば、多くの場合、自炊の方が低コストになります。
ただし、これは「同じ量を、無駄なく作れた場合」の話です。
自炊の金銭的なコストを考えるときは、次のような要素も関わってきます。
- 食材を使い切れず捨ててしまう分
- 光熱費(ガス・電気・水道)
- 調味料や油など、レシピには載らない細かい費用
これらを考えずに「食材費だけ」を比較すると、自炊の実際のコストを低く見積もってしまいます。また、金額には直接含まれませんが、買い物や調理、片付けにかかる時間も、無理なく続けられるかを考えるうえでは判断材料になります。
農林水産省は「食品価格動向調査」で、主要な野菜の小売価格を毎週継続的に調査しています。また、「野菜の生育状況及び価格見通し」では、天候不順による価格変動が大きくなっている状況を踏まえ、主産地や卸売会社への聞き取りをもとに、品目ごとの価格見通しを公表しています。同じ食材でも、時期によって購入価格が変わるため、「自炊はいつも安い」と決めつけず、実際に使う食材の価格を確認する習慣も大切です。
1食あたりのコストの考え方
なお、この記事では「1食」を1人が1回食べる分として計算します。二人で同じ料理を食べた場合は「2食」と数えます。
自炊と外食を公平に比較するには、「1食あたり」という単位をそろえる必要があります。
自炊の場合、1食あたりのコストは次のように考えます。
食材費 ÷ 作れる食数
たとえば、1,000円分の食材で4食分の料理ができたなら、1食あたり250円です。
ここに光熱費や調味料代を上乗せすると、実質的なコストはもう少し高くなります。長時間の調理は電気代・ガス代がかさみやすく、時短調理は影響が小さくなります。厳密に計算する必要はなく、「食材費に少し余裕を持たせて考える」程度で十分です。
外食・中食の場合は、支払った金額がそのまま1食分のコストになるため、比較的分かりやすいでしょう。ただし、ドリンクやサイドメニューを追加すれば、その分も含めて考えます。
試算例:自炊のコスト
具体的な数字でイメージしてみます。以下の金額は、地域・店舗・購入時期によって変わる試算上の仮定です。実際の価格とは異なる場合があります。
仮に、豚肉の炒め物(豚肉150g、野菜、ご飯)を二人分作るとします。
- 豚肉150g:約300円
- 野菜(キャベツ・にんじんなど):約150円
- 調味料:約50円
- 米(1合分):約110円(農林水産省の調査によると、2026年5月の米5kgの小売価格は平均3,719円、6月8日週は3,588円。これを基準に概算)
合計は約610円です。二人分なので、1人あたり約305円になります。
作り置きによって余った食材を使い切れたり、一度の調理で複数食をまとめて作れたりすれば、食材ロスや1食あたりの光熱費を抑えられる場合があります。ただし、食材費そのものの単価が下がるわけではないため、「作り置き=必ず安くなる」とは限りません。
食材選びでもコストは変わる
自炊のコストは、選ぶ食材によっても差が出ます。鶏むね肉、豆腐、もやし、卵など、比較的取り入れやすく複数の料理に使い回しやすい食材を中心にすると、1食あたりのコストを抑えやすくなります。反対に、季節外れの野菜や特定の料理にしか使わない高価な食材を選ぶと、自炊であってもコストは上がります。
農林水産省では、主要な野菜の小売価格を継続的に調査しているほか、天候や生育状況を踏まえた品目ごとの価格見通しも公表しています。出回る量が増える時期には価格が下がることもありますが、天候や産地の状況によって変動するため、「旬だから必ず安い」とは限りません。
試算例:外食・中食のコスト
外食や中食のコストは、選ぶ店やメニューによって幅があります。
たとえば、仮に次の価格だったとして比較します(実際の相場ではなく、あくまで計算例です)。
- 定食屋のランチセット:800円
- コンビニ弁当:500〜600円
- スーパーの総菜とご飯を組み合わせる:400〜500円
同じ「外で食べる、または買ってくる」でも、選び方によって1食あたり300円以上の差が出ることがあります。
外食の中でも、ランチタイムの定食は、夜のメニューより安く設定されていることが多く、時間帯を選べる場合は活用しやすいでしょう。
自炊が高くつくケース
自炊が必ずしも節約にならないのは、次のような場合です。
食材を使い切れない
キャベツ1玉、肉のパックなど、複数人分の量で売られている食材は、少量しか使わない料理では余りやすくなります。余った分を傷ませて捨ててしまえば、実質的な食材コストは上がります。
少量だけ作ると食材を割高に買うことがある
1人分、2人分だけを作ろうとして少量パックを選ぶと、容量の大きな商品より単価が高くなる場合があります。また、使い切れない食材が出れば、その分も実質的なコストになります。
光熱費がかさむ調理をする
長時間の煮込みや、複数の鍋・コンロを使う料理は、光熱費も相応にかかります。時短で作れる料理と比べると、見えにくいコストが積み重なります。
外食・中食を選んだ方が無駄を抑えやすい場合
一方で、外食や中食を選んだ方が、無駄な支出を避けやすい場面もあります。
少量だけ必要なとき
1人分だけ食べたい料理を自炊しようとすると、食材が余りがちです。総菜やコンビニ弁当なら、必要な量だけ買えます。食材を余らせて捨てるロスを考えると、結果的に外食・中食の方が無駄を抑えられることがあります。
無理して自炊すると、かえって出費が増えるとき
疲れていて自炊する気力がない日に、あらかじめ食材を買っていても、結局総菜や外食に切り替えることがあります。その食材を使い切れなければ、予定外の支出に加えて食品ロスも発生します。
ここで一つ整理しておきたいのは、食費だけを金額で比較する場合、時間や気力は金額には含まれないということです。「時間や気力の節約になるから安い」という意味ではありません。ただし、無理なく続けられるかどうかを考えるうえでは、調理や片付けにかかる負担も、判断材料の一つにはなります。金銭的なコストと、生活上の負担は、分けて考えるのが正確です。
割引や特典を活用できるとき
見切り品の総菜やクーポンを活用すれば、外食・中食のコストを抑えられる場合があります。すぐに食べる商品を選ぶときは、以前の記事で紹介した「てまえどり」も食品ロスを減らす選択肢の一つです。
1週間で振り返ってみる
1食ずつ細かく計算するのは大変なので、1週間単位でざっくり振り返る方法もあります。
ここで注意したいのは、レシートの「購入金額」をそのまま食数で割ると、実態とズレることです。米や調味料など、その週に買っても使い切らない食材が含まれていると、自炊のコストは実際より高く見積もられます。逆に、前の週に買った食材を使った日は、その週の購入額には含まれません。
そこで、次の手順で振り返ります。
まず、直近1週間の食事を「自炊」「外食」「中食(総菜・弁当)」の3つに分けます。自炊については、購入額そのものではなく、「その週に実際に使った食材の金額」を大まかに見積もります。肉や野菜など、その週で使い切った食材はそのままの金額で、米や調味料など何回かに分けて使う物は、1回あたりの使用量を目安に按分します。
次に、それぞれの合計金額を、延べ食数(1人が1回食べるごとに1食と数えます)で割ります。自炊で使った食材費の見積もりが延べ10食で2,500円なら、1食あたり250円です。外食が延べ3食で2,400円なら、1食あたり800円になります。
この数字を出すだけで、「自炊はやはり安い」のか、「意外と外食も抑えられている」のか、自分たちの実態が見えてきます。厳密に計算する必要はなく、1回だけでなく2〜3週間続けてみると、より実態に近い数字がつかめます。
二人暮らしでの考え方
わが家のような二人暮らしでは、1人暮らしとはまた違った視点が必要になります。二人分をまとめて作れば、1人あたりの食材費は下がりやすくなりますが、相方の体調や予定によって、二人とも家で食べるとは限りません。「二人だから自炊が絶対安い」と決めつけず、実際にどちらが多いかを振り返ってみることが大切です。
よくある失敗
比較や計画の際に、次のような失敗が起きがちです。
- 光熱費や食材ロスを考慮せず、食材費だけで自炊を安いと決めつける
- 定食屋のランチとディナーの居酒屋メニューを同じ「外食」として一括りにする
- 自炊を頑張りすぎて途中で心が折れ、結局総菜を追加で買ってしまう(自炊のつもりが二重の支出になる)
よくある質問
Q. 自炊と外食、どちらを基本にすればいいですか?
どちらか一方に決める必要はありません。まとめて作れる料理は自炊、少量だけ必要な日は総菜、忙しい日は外食というように、状況に応じて使い分ける方法もあります。
Q. 光熱費はどのくらい自炊のコストに影響しますか?
調理方法や時間によって変わるため、一概には言えません。長時間の煮込みなど光熱費がかさむ調理を頻繁に行う場合は、その分も考慮に入れるとより正確な比較ができます。
Q. 二人暮らしなら自炊の方が確実に安いですか?
まとめて作れる食材が多い分、1人暮らしよりは自炊のメリットが出やすい傾向にあります。ただし、食材を使い切れているかどうかによって結果は変わります。
Q. 外食の頻度はどのくらいが節約になりますか?
一般に外食は自炊より1食あたりの支出が大きくなりやすいため、外食の回数を減らすことは食費を見直す方法の一つです。ただし、自炊で食材を余らせてしまう場合などは結果が変わるため、一律に「週何回まで」と決める必要はありません。
まとめ
自炊は、多くの場合で外食より1食あたりのコストを抑えやすい選択です。ただし、それは食材を無駄なく使い切れた場合の話です。
食材を余らせて捨ててしまえば、自炊の実質的なコストは上がります。反対に、外食でもランチタイムの定食や見切り品の総菜をうまく活用すれば、想像より抑えられることもあります。
比較するときは、食材費だけでなく、光熱費や食材ロスといった見えにくいコストも含めて考えることが大切です。調理や片付けにかかる時間・気力は金額そのものには含まれませんが、無理なく続けられるかを考えるうえでの判断材料にはなります。
わが家のような二人暮らしでは、まとめて作れる食材が多い分、自炊のメリットが出やすい面もありますが、二人の予定が毎回そろうとは限りません。
「自炊は安いはず」と思い込む前に、今週の食費を自炊・外食・中食に分けて振り返ってみてください。どこにコストがかかっているかが見えると、無理のない使い分け方が見つかりやすくなります。