最近、迷惑メールがやたら増えてきた。
本当に増えてきた。
昔から迷惑メールはあったけれど、最近はまた一段階増えた気がする。
メールボックスを開くと、知らない差出人からの怪しいメール。
件名だけで「あ、これはダメなやつだな」と分かるものも多い。
もう見慣れすぎて、基本は秒で削除している。
「はいはい、またこれね」
という感じである。
銀行を名乗ったり、配送業者を名乗ったり、謎のキャンペーンに当選したことになっていたり、アカウントが停止されそうになっていたり。
もうこちらの人生、メールの中では何回アカウント停止されて、何回当選して、何回荷物が届かなくなっているのか分からない。
現実の自分は、東京都多摩地区の築40年以上の賃貸アパートで、相方と地味に暮らしている普通の会社員である。
そんな自分に、毎日のように「重要」「緊急」「確認してください」とメールが来る。
いや、こっちは今日の晩ご飯と電気代のほうが重要なんだよ。
そんな感じで、迷惑メールは基本的に相手にしない。
開かない。
クリックしない。
返信しない。
削除する。
これが基本だ。
ところが、そんな迷惑メールの中で、ちょっとだけ手が止まったものがあった。
いわゆる「お母さん系」の迷惑メールである。
突然届いた「お母さんより。」
最初に目に入った件名は、これだった。
お母さんより。
そして内容は、こんな感じだった。
母です。
大丈夫?
これを見て心配で連絡しました。

いや、誰だよ。
まずそこからである。
誰のお母さんなのか。
何を見たのか。
何が大丈夫なのか。
情報がなさすぎる。
普通に考えれば、迷惑メールである。
間違いない。
こちらには心当たりがない。
差出人も怪しい。
文面も怪しい。
そもそも本当に母親なら、こんなメールの入り方はしない。
「母です。」
この一文が、逆に怪しすぎる。
母親が自分で「母です。」と名乗る場面、人生でそんなにない。
電話ならまだしも、メールで「母です。」はなかなかない。
しかも、その後に「大丈夫?」と来る。
何が。
どれが。
なぜ。
情報がゼロなのに、心配だけされている。
これは冷静に考えれば、完全におかしい。
でも、見た瞬間に一瞬だけ思考が止まった。
本当に一瞬だけ。
「あれ?」
と思ってしまった。
迷惑メールだと分かっているのに、なぜか一瞬だけ引っかかる。
これが少し悔しい。
情報ゼロなのに圧だけはある
この「母です」系のメールは、そのあとも連続で来た。
件名は、たとえばこんな感じ。
ちょっと…
内容は、
これアナタ?お母さんショックです。
必ず連絡してください。

いや、圧がすごい。
そして次は、
お母さんです
内容は、
これは何?お母さんショックです。
怒らないから事情を話してください。

さらに、
お母さんです
内容は、
これアナタよね?
すぐに事情を話してください。

いや、だから何が。
何を見たのか。
何にショックを受けているのか。
何について事情を話せばいいのか。
全部分からない。
分からないのに、なぜかこちらが悪い前提で話が進んでいる。
これ、地味に怖い。
文章としては雑すぎる。
でも、圧だけはある。
「お母さんショックです。」
この言葉の破壊力。
冷静に考えれば、何も具体的なことを言っていない。
でも、親に何かを見られてショックを受けられている、という構図だけは妙に生々しい。
何もしていないのに、なぜか少しだけ怒られている気分になる。
47歳にもなって、迷惑メールに「お母さんショックです」と言われて、ほんの一瞬だけ心がざわつく。
なかなか情けない。
でも、たぶんこれが狙いなんだと思う。
雑すぎるのに一瞬リアルっぽい
普通の迷惑メールなら、もっと分かりやすい。
日本語が変だったり、差出人が明らかにおかしかったり、リンク先が怪しかったりする。
もちろん、それでも危ないものはある。
でも、ある程度見慣れてくると、件名を見ただけで「ああ、これ系ね」と分かる。
ところが、この「母です」シリーズは、妙に雑だ。
雑すぎる。
文章が短い。
情報がない。
具体性がない。
だけど、その雑さが少しだけリアルっぽく見える瞬間がある。
完璧すぎる詐欺メールより、少しズレている文章のほうが、逆に人間っぽく見えることがある。
たぶん、そこが嫌らしい。
普通の詐欺メールなら、
「アカウントが停止されます」
「至急確認してください」
「本人確認が必要です」
みたいな、いかにもな文面が多い。
でも「母です。」は、別方向から来る。
銀行でもない。
カード会社でもない。
配送業者でもない。
いきなり母である。
母を名乗られると、反射的に感情が動く。
これがいやらしい。
しかも、「大丈夫?」とか「ショックです」とか、妙に感情を揺らしてくる言葉を入れてくる。
内容は雑なのに、感情へのフックだけはある。
そこが少し怖い。
「本当に母だったら?」と一瞬だけ考えた
もちろん、冷静に考えれば母ではない。
メールで「母です。」なんて来ない。
しかも、こちらが何をしたのかも書かれていない。
本当に何か心配しているなら、もう少し具体的に書くはずだ。
それなのに、一瞬だけ思った。
「これ、本当に母だったらどうしよう」
いや、ない。
ないのは分かっている。
でも、その一瞬がある。
迷惑メールの怖いところは、まさにそこだと思う。
こちらが冷静なときは、すぐに判断できる。
でも、疲れているとき。
仕事中にバタバタしているとき。
寝起きで頭が回っていないとき。
家のことや仕事のことで気持ちに余裕がないとき。
そういうタイミングで見たら、一瞬だけ反応してしまう可能性がある。
自分も今回は引っかかってはいない。
クリックもしていない。
返信もしていない。
ただ削除した。
でも、手が止まった。
そこが少し悔しい。
迷惑メールなんて相手にする価値はないと思っているのに、感情だけ一瞬持っていかれた感じがした。
親を使ってくるのはずるい
迷惑メールにもいろいろあるけれど、親を使ってくるのはずるいと思う。
「母です。」
この一言だけで、いろいろな感情が勝手に動く。
人によっては、母親との関係が近い人もいる。
離れて暮らしている人もいる。
普段あまり連絡を取っていない人もいる。
心配をかけている自覚がある人もいるかもしれない。
そういう人にとって、「お母さんより。」という件名は、完全に無視しづらい。
もちろん、自分の場合はすぐに怪しいと分かった。
でも、それでも一瞬止まった。
ということは、人によってはもっと強く反応してしまう可能性がある。
メールの内容は雑でも、狙っている感情はかなり嫌なところを突いている。
家族。
心配。
ショック。
怒らないから話して。
このあたりの言葉は、ずるい。
仕事のメールなら無視できる。
知らない会社なら無視できる。
でも家族っぽいものは、一瞬だけ確認したくなる。
そこを狙っているのだとしたら、かなり嫌らしい。
迷惑メールに対して「ずるい」と言うのも変だけど、これは本当にずるい。
たぶん「数撃ちゃ当たる」なんだろう
こういう迷惑メールは、結局のところ「数撃ちゃ当たる」なんだと思う。
1万通送って、ほとんどの人が無視しても、1人でも「え、なに?」と思って反応したら成立する。
その1人を狙っている。
自分も今回は反応しなかった。
でも、一瞬だけ手が止まった。
その時点で、相手の作戦に少しだけ乗せられたような気がして悔しい。
もちろん、メールを開いたり、リンクを押したり、返信したりはしていない。
だから実害はない。
でも、気持ちだけ少し動いた。
迷惑メールの目的は、まずは手を止めさせることなのかもしれない。
読ませる。
不安にさせる。
気にさせる。
返信させる。
リンクを押させる。
最初の一歩は、「あれ?」と思わせること。
そう考えると、「母です」はかなり嫌なところをついている。
銀行やカード会社を名乗るメールは、もう警戒されやすい。
でも家族っぽいメールは、感情の入り口が違う。
この“ちょっとだけ心が動く”感じを狙っているのだと思う。
迷惑だけど少しだけ印象に残った
もちろん、迷惑メールは迷惑である。
これは大前提だ。
普通に邪魔だし、来ないでほしい。
メールボックスが汚れる。
確認する時間が取られる。
気持ちも少し悪くなる。
仕事や日常の中で、こういう余計なものに意識を持っていかれるのは本当に面倒だ。
だから基本は削除。
迷惑メールフォルダへ。
場合によってはブロック。
それで終わり。
ただ、この「母ですシリーズ」だけは、少しだけ印象に残った。
迷惑なのに、ちょっとだけ文章として気になってしまった。
雑すぎるのに、妙に感情を揺らしてくる。
情報ゼロなのに、こちらに何か悪いことをしたような気持ちを一瞬だけ起こさせる。
これがなんとも嫌な感じだった。
「お母さんショックです。」
この一文、強い。
意味は分からない。
でも圧はある。
本当に内容がないのに、感情だけ投げてくる。
ある意味、現代の迷惑メールらしいのかもしれない。
いや、褒めてはいない。
全然褒めてはいない。
むしろ迷惑である。
でも、記憶に残った。
そこがまた腹立たしい。
自分が47歳だから余計に変な気持ちになる
考えてみると、自分はもう47歳である。
いい年した会社員である。
相方と暮らしている。
築40年以上の賃貸アパートで、日々の生活費や副業や健康のことを考えながら生きている。
そんな自分に向かって、
「お母さんショックです。」
とメールが来る。
なんだこの状況。
47歳にもなって、謎のメール上のお母さんに怒られている。
しかも、何を怒られているのか分からない。
これはちょっと笑ってしまう。
同時に、少しだけ気持ち悪い。
自分の年齢や生活を考えると、なおさら違和感がある。
でも、人間はいくつになっても、親という言葉には反応するのかもしれない。
自分ではもう大人のつもりでいる。
いや、年齢的には完全に大人だ。
でも、「母です」と言われると、一瞬だけ子ども側の反射が出る。
これも不思議なものだ。
迷惑メールごときに、自分の中の変なスイッチを押される。
なんとも腹立たしい。
昔の迷惑メールとは少し違う気がする
昔の迷惑メールといえば、もっと分かりやすかった気がする。
いかにも怪しい儲け話。
海外からの謎の大金。
日本語がめちゃくちゃな文章。
突然の出会い系。
そういうものが多かった。
もちろん、今もそういうものはある。
でも最近は、少しずつ方向性が変わっている感じがする。
感情を狙ってくる。
不安を狙ってくる。
家族っぽさを出してくる。
日常の中に紛れ込もうとしてくる。
今回の「母です」もそうだ。
企業やサービスを名乗るのではなく、家族を名乗る。
しかも、内容をあえてぼかしている。
「これを見て」
「これは何?」
「事情を話してください」
具体的に書かないことで、こちらに勝手に想像させる。
心当たりがなくても、
「え、何?」
と思わせる。
このやり方は、雑だけど少し怖い。
完全に作り込まれた文章ではないのに、人の不安のすき間に入ってくる感じがある。
だから、迷惑メールはやっぱり油断できない。
見慣れたつもりでも、たまに違う角度から来る。
削除するしかないけど、ネタとしては残った
最終的に、メールは全部削除した。
返信もしない。
リンクも押さない。
何もしない。
それが一番である。
迷惑メールは相手にしない。
これは分かっている。
ただ、今回の「母ですシリーズ」は、ネタとしては残った。
削除はした。
でも記憶には残った。
そして今、こうしてブログに書いている。
迷惑メールとしては、完全に迷惑。
でも日記のネタとしては、少し強かった。
日常の中には、こういう小さな違和感がある。
大きな事件ではない。
誰かに話すほどでもない。
でも、ちょっとだけ心がざわついたこと。
一瞬だけ手が止まったこと。
「いや、誰だよ」と思ったこと。
こういうものも、ブログに残しておくと面白い。
自由人への道は、別に立派なことだけを書くブログではない。
日常の中で見つけた、小さな引っかかりも書いていい。
迷惑メールにざわつく47歳会社員。
かっこよくはない。
でも、リアルではある。
迷惑メールに慣れすぎるのも怖い
迷惑メールが増えると、だんだん慣れてくる。
これはこれで危ない気もする。
慣れると、基本的にはすぐ削除できる。
それはいい。
でも、慣れすぎると、メールそのものへの警戒心が雑になることもある。
「どうせ迷惑メールでしょ」
と思って削除する。
それで済むならいい。
でも、たまに本当に大事なメールが混ざっていたら困る。
逆に、迷惑メールなのに少し本物っぽいものが来ると、一瞬迷う。
メールというものは、便利だけど面倒だ。
仕事でも使う。
生活でも使う。
通販でも使う。
銀行やカード、各種サービスの連絡も来る。
そこに迷惑メールが混ざってくる。
もうメールボックスは、ちょっとした仕分け作業場である。
必要なもの。
不要なもの。
危ないもの。
後で見るもの。
全部を一瞬で判断しなければならない。
昔より便利になったはずなのに、こういうところで地味に疲れる。
「母です」みたいな変化球が来ると、余計に疲れる。
本当にやめてほしい。
それでもまた来たら読んでしまいそう
正直に言うと、この「母ですシリーズ」がまた来たら、たぶんちょっとだけ読んでしまうと思う。
もちろん返信はしない。
クリックもしない。
危ないことはしない。
でも、件名と本文の最初くらいは見てしまう気がする。
これはもう、怖いもの見たさに近い。
次は何と言ってくるのか。
また「お母さんショックです」なのか。
今度は何にショックを受けるのか。
情報はあるのか。
ないのか。
たぶん、ない。
ないのに圧だけある。
そう分かっていても、ちょっと気になる。
悔しい。
完全に相手の思うつぼではないか。
でも、人間は少し変なものに弱い。
あまりにも雑で、あまりにも意味が分からないものに、逆に目がいってしまうことがある。
今回の「母ですシリーズ」は、まさにそれだった。
迷惑メールとしては最悪。
でも、文章としての引っかかりだけはある。
だから余計に腹立たしい。
まとめ
最近、迷惑メールがやたら増えてきた。
基本的には、件名を見てすぐ削除している。
銀行系、配送系、アカウント停止系、当選系。
もう見慣れたものも多く、「はいはい、またこれね」という感じで流している。
そんな中で、少しだけ手が止まったのが「母です」シリーズだった。
件名は「お母さんより。」や「お母さんです」。
本文には、
「母です。大丈夫?これを見て心配で連絡しました。」
「これアナタ?お母さんショックです。」
「怒らないから事情を話してください。」
といった言葉が並んでいた。
冷静に考えれば、完全に迷惑メールである。
誰なのか分からない。
何を見たのかも分からない。
何にショックを受けているのかも分からない。
事情を話せと言われても、こちらには事情がない。
情報はゼロ。
でも圧だけはある。
そして、その雑さが逆に一瞬だけリアルっぽく見えるのが嫌だった。
「本当に母だったらどうしよう」
と、ほんの一瞬だけ考えてしまった自分がいる。
もちろん、返信もしないし、リンクも押さない。
全部削除した。
でも、一瞬だけ心がざわついた。
そこが少し悔しい。
こういう迷惑メールは、たぶん数撃ちゃ当たる作戦なのだと思う。
たくさん送って、誰か一人でも「え、なに?」と反応すればいい。
そのために、家族や心配やショックといった言葉を使って、感情を揺らしてくる。
迷惑メールとしては本当に迷惑だ。
普通に邪魔だし、来ないでほしい。
でも今回の「母ですシリーズ」は、雑すぎるのに妙に印象に残った。
47歳にもなって、謎のメール上のお母さんに「ショックです」と言われて少しざわつく。
なんとも情けないけれど、これも日常のひとコマである。
迷惑メールは減らない。
むしろ、どんどん増えている気がする。
だから今日も、無心で削除ボタンを押す。
ただ、また「母です」が来たら、たぶんちょっとだけ読む。
そしてまた心の中で言うと思う。
いや、誰だよ。